TPP反対派はなぜ強い

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TPPの議論というと反対派が一方的にぎゃーぎゃー言っているイメージがあって、損得をなぜちゃんと議論しないのかずっと疑問でした。日経の記事で大分納得したので例によって転載。

2012年8月28日朝刊 経済教室 「TPP参加 日本の選択 (中)」

(前略)交渉参加に関して、世論調査の結果と国会議員の立場に大きな隔たりがあるのはなぜか。特に、TPP反対の中心は農業関係者だが、農業部門が縮小しているのに、その政治力が衰えないのはなぜか。政治学者のマンサー・オルソン氏が唱えた「集合行為論」によりうまく説明できる。
仮に、TPPで利益を得る人が1億人いて、その利益の合計が10兆円、一方で損失を被る人が200万人いて、その損失の合計が8兆円としよう。この場合、経済全体としては差し引き2兆円の利益になるのでTPPを進めたほうがよいはずだが、実際にはなかなか実現しない。それは得するグループの利益が1人当たり10万円なのに対し、損するグループの損失は1人当たり400万円にもなるからだ。
TPP参加で得をするグループの多くは、世論調査で「交渉に参加すべきだ」と答えても、たとえば霞が関まで行って「TPP賛成!」と叫ぶとは考えにくい。世論調査への回答には費用がかからないが、霞が関まで行くと様々な費用が生じるからだ。しかし損をするグループは違う。交通費をかけて霞が関まで行き、丸1日仕事をせずに「TPP反対!」と叫ぶ誘因がある。最終的に主張が通れば、400万円もの損失を避けられる。(後略)

つまり、損する人数が少ないほど損失が集中し、組織して声高に反対する要因ができるというわけですね。

「経済教室」はいつもためになる話が多いですが、このシリーズは特におもしろかったです。単なる推進派の損得勘定ではなく、どう議論すべきか、どのような対策が必要か、といったところに主眼が置かれているのが良かったです。

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